チームを作っていくために理解してほしいこと

 

このページには、横浜翠嵐高校野球部員に対する監督からのメッセージを書いていきます。
これが僕の指導方針、チーム方針なので、部員はよく読んで理解しておくこと。

第7回 「あたりまえ」 (2017.08.16)


「あたりまえのことをあたりまえにやるのが強いチームだ」とよく言います。
では、「あたりまえのこと」とは何でしょうか。「あたりまえじゃないこと」とは何でしょうか。

先日の合宿で、こんなことがありました。
選手全員の荷物を、宿舎からグラウンドまで監督が車で運び、選手が歩いて到着するころには、荷物をすべてベンチに並べ、グラウンドには3台のスプリンクラーを稼動させておきました。
「こういう風にしておいたら、相手は喜ぶかな」と考えた行動をしたつもりです。
ところが、到着した選手の中で感謝を述べた者はわずかに一人。

その場にあった光景は「あたりまえ」のものでしょうか?

脱ぎ散らかした衣服が、きれいになって部屋に戻ってきている。
昨日食べて洗いもしなかった弁当箱に、翌朝、新しいお弁当ができている。
昨日落ちていたごみが、今日はなくなっている。
汚いなぁと思っていた場所が、きれいになっている。

「あたりまえのよう」に思えることも、誰かが誰かのために「あたりまえのよう」にやった結果なのではないでしょうか。
大事なことはそれに気付けるかだと、僕は思います。
気付こうとしなければ、一生気付くことはできません。


第6回 「壁を越えていく」強さ (2017.06.28)


今できないことが、その人にとっての壁です。
だから、「できないことにチャレンジすること」が壁を超えていくことになります。

ところが、できないことは苦手なことが多いので避けて通りたがるのが人間です。
たとえばバント練習。
練習でもうまくいかないから、やりたくない。練習でミスをしても、適当に笑ってごまかす。
やらなければ失敗もしないので恥ずかしい思いをしなくていいかもしれません。
しかしやらなければいつまでたっても上達はしないし、いつか試合でサインが出たときに、チームに迷惑をかけることになります。
たとえば守備練習。
今は絶対に捕れない打球でも、飛びついているうちに捕れるようになるかもしれません。
「これはノッカーの打ち損じだ」と打球を見送っている選手は、一生その打球は捕れません。
守備範囲というものは、そうして広がっていくのではないでしょうか。

壁が低いうちに今乗り越えなければ、時間とともにその壁は高くなっていきます。
低い壁を乗り越えることができたら、次の壁も乗り越えられる可能性は高くなります。

壁を乗り越える喜びを知る。できなかったことができるようになる喜びを知る。
苦手だったことが苦にならなくなる。その実感を持つことで人生は変わります。


第5回 「声」を出せ (2017.03.17)


「声を出せ!!」

野球部に限らず、どこの運動部でも日常的に言われることではないだろうか。
僕自身も、学生時代に先輩や先生が「声を出せ!!」と日常的に怒っていた記憶があるし、「声が出ていないから」という理由で罰走をさせられた記憶もある。

では、なぜ「声」を出さねばならないのだろうか?

シーンとしている空間と、ワイワイガヤガヤしている空間と、自分の声を発しやすいのはどちらか。
普段から声を出して守備をしているチームとそうでないチーム、試合で守っているときにとっさに必要な声が出やすいのはどちらか。
練習時に自分のプレーに対して称賛や指摘が入るチームとそうでないチーム、同じ練習メニューから得られる効果は同じだろうか。

「声を出せ!!」は単なる根性論ではない。と僕は思う。
「ナイスバッティング!!」「あごが上がっていたぞ!!」
称賛したり、指摘したりするためには、集中してチームメイトのプレーを見るようになる。
そのことで、自分が得られる効果も、きっとある。

だから、声が出るチームは、強い。


第4回 「心・技・体」の「心」を鍛える (2016.12.19)


「人間的な成長なくして勝利なし」

きみたちが人間的に成長できなければ、つまり「心・技・体」の「心」の部分が成長できなければ、チームの勝利が近づくことはありません。
技術を一生懸命磨いても、体を鍛えてパワーアップしても、本番で実力を発揮するための強い「心」がなければ、チャンスでの打席、ピンチでのマウンド、守備機会で結果を出すことはできないでしょう。

技術がきみたちよりも優れているチーム、体格がきみたちよりも優れているチームは、たくさんあります。そうしたチームに勝つために必要なのが、「心・技・体」の「心」を鍛えることなのだと思います。「心」の優れたチームは、「技」の優れたチーム、「体」の優れたチームに勝る。
だから「心」「技」「体」という語順なのではないでしょうか。

「絶対に打つ!」という気持ちで打席に入ったとき、バントのサインが出ても、冷静にきめられますか。
練習内容に不平不満を唱えている選手が、その練習から抜群の効果を得られるでしょうか。
チーム全体が怒られているとき、「俺は悪くない」と思う選手がいるチームは、強くなれますか。

きみたちは15~18歳、大人になった「つもり」でも、まだまだ子どもです。
その意識で自分を律することができなければ、引退する時にも子どもの「心」のままでしょう。
「心」の成長は、1日、1週間でできるものではありません。
夏の大会で「技」「体」の優れたチームに勝つために、「心」を鍛えることを意識しましょう。



第3回 モノを大切にしよう (2016.10.04)


野球の試合をするのに一体どれだけの道具が必要だろうか?
ボール、バット、グローブ、ヘルメット、スパイク、キャッチャー用具、ベース……さらに守備用手袋や打撃用手袋、捕手のファウルカップ、エルボーガードにフットガード、コールドスプレーなど数え上げればキリがない。
そのなかで、自分で稼いだお金で買った「自分のモノ」はいくつあるだろうか?
親に買ってもらった用具、部員(先輩も含む)の親御さんから集めたお金で買った用具。
きみたちは普段、それがなくては野球ができないモノたちを大切に扱っていますか?

当たり前のように毎日使っていると、大切にする気持ちが疎かになる。
高校野球、はじめての打席に立った時、いきなりバットやヘルメットを雑に扱う選手がいるだろうか?

慣れてきたら適当になる、という選手は、1試合2時間~3時間、ほんとうに集中していられるだろうか。練習で何度も取り組んだプレーを、本番でも慎重にミスなくこなせるだろうか。
大切に扱ったモノなのか、雑に扱われたモノなのか、モノの違いでプレーに影響が出ることもゼロではないが、もっとも強く影響を及ぼすのはモノに対するそのヒトの心、人間力だ。

ボールがあちこちに落ちていたり、バッティンググローブがベンチに落ちていたり……。そういうチームはきっと強くなれないと僕は思う。



第2回 感謝の気持ちを持とう (2016.07.29)


きみが今、高校野球をできているのは、決してきみ一人の力ではない。
親、先生、チームメイト、マネージャー……頭に浮かぶ人はどれほどいるだろうか。
高校生にもなると、大人になった「つもり」で、一人でも生きていけるような錯覚に陥ることがある。
しかし、そんなことは絶対にない。
まして部活動をしているきみたちは、大人になった「つもり」では決して見えないだろうが、実に多くの人の支えがあって野球部の活動が成り立っていることに気付けているだろうか。
傲慢になってはいけない。

「ありがとう」と「ごめんなさい」、はっきりと言える人間になろう。


もしきみが学校生活や勉強に熱心に取り組めない生徒ならば、きみは横浜翠嵐高校野球部には不要。
きみが試合に出ているとき、同じように練習、努力をしながらベンチにいる選手もいる。
野球は得意だけれど授業中は不真面目、追試ばかり、という部員では困る。
まずは「授業態度」「テスト勉強」「学校の掃除」「家の手伝い」など、
やるべきことを当たり前にできる人間になってほしい。

毎日野球ができること、試合に出られること、これを当たり前と思ってはいけない。


他校では、練習時にグラウンドを使えない学校や、使えるスペースが極端に限られている学校もある。
ある私立の強豪高校も、平日休日問わず、グラウンドは内野ほどのスペースしか使えないそうだ。
以前、その学校の部長を務める先生(当時)に「だから打撃練習はティー打撃が中心だ」というお話を伺ったとき、僕は「フリー打撃ができないのは厳しいですね」と言ってしまったが、「意識の低いフリー打撃を行うチームもあるが、うちは高い意識を持ってティー打撃をしているつもりだ。」と即答され、「目的意識」の大切さを改めて実感した。

グラウンドが使えること、部室を貸してもらえていること、これを当たり前と思ってはいけない。


だから、きみたちが野球をやる上で今与えられている環境を、当たり前と思わないでほしい。
グラウンドはきれいに整備する、学校から借りている部室はきれいに使う。
与えられた環境に慣れてしまって不平・不満を言うのは簡単。
人は「自分のもの」という意識を持つと、すぐにそれを疎かにする。
(教室の机に落書きなどしていないか?)

毎日行う「グラウンドへの挨拶」が「形式的なもの」になってしまってはいけない。



第1回 プロ野球選手のことば (2016.07.08)


結果は環境から生まれるんじゃなくて、工夫や努力から生まれる。(稲尾和久:元西鉄ライオンズ投手)

西鉄入団時、稲尾投手は練習する環境をまともに与えられず、バッティングピッチャーとして使われている間に工夫して自分の練習を行った。その結果、高校時代は自他ともに認めるノーコン投手だったのが、プロ1年目で「針の穴を通すコントロール」と評価されるまでになった。


ピッチャーは一球で地獄を見る。バッターは一振りで天国へ上がれる。しかもピッチャーは一球では天国へ上がれない。(江夏豊:元阪神タイガース投手)

メッツに入団した吉井理人投手のオープン戦での投球を見て残した言葉。ピッチャーという稼業の厳しさを簡潔に表現した見事な格言。同時に一球の怖さ、一球の大切さを物語っている。


弱気は最大の敵。(津田恒実:元広島カープ投手)

32歳で夭折した"炎のストッパー"津田投手の座右の銘。「津田の帽子見たらね『弱気は最大の敵』って書いとるんですよ。それ見てね、ああコイツは本当は気の小さい男なんだなと。それを無理やり奮い立たせて向かっとるんだなと」とは達川光男捕手の言葉。


みなさんの人生はすべて自分次第。やるか、やらないか。それですべてが決まる。(桑田真澄:元読売ジャイアンツ投手)

2013年度プロ野球に入団した新人選手の研修会にて、講師であった桑田投手の一言。